タイと私と仏教と ~タイのお寺・神社・博物館から~

タイのお寺を通して広くタイ人の信仰を研究中

仏教に帰依するヒンドゥー教の神々!9神が集まる交差点(1)

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ラーチャプラソン8神+1 バンコク

 

サワディーカ。

@yayoiです。

 

かなり以前ですが、ある日気がついた

BTSスカイトレイン

チットロム駅に貼ってある地図。

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R WALKの文字が目立ち、その横に

EAT 、SHOPとあるので

ショッピングマップかと思って

通り過ぎていたのですが、ある時

よく見たら、ラーチャプラソン交差点を

中心として建てられている

ヒンドゥー教の神様の神社のマップでした。

 

この辺りは、いつ、何度行っても

あちらこちらにヒンドゥー教の神様が

見えるのが楽しいのですが、

ヒンドゥー教の神様は

仏教に帰依したとされる神様も多く、

大乗仏教が主流の日本のお寺では

“ 天 ” として取り入れられています。

 

一方、上座部仏教が主流のタイでは、

仏教のお寺の中にヒンドゥー教

神々の姿そのままが、日常的に

取り入れられているので、お寺に行くたび

目にする機会がとても多いのです。

 

そこで、ヒンドゥー教の神々が集まる

ラーチャプラソン交差点の周囲の神社を

例に、簡単にヒンドゥー教の神様に

ついて、書いてみようと思います。

 

まずは、この近くに祀られている

ヒンドゥー教の神々の呼び名、天の名、

乗り物や持ち物などを

簡単に一覧表にしました。 

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次に先ほどの駅の地図をお借りして

今回、説明する順番に番号をかえました。f:id:at_yayoi:20200326182558j:plain

 

この順番を決めた理由は

ヒンドゥー教の神様には配偶神がいて

パートナー関係や

親子関係があるので

関連性があるものをまとめてみました。

 ( )内は神社の番号です。

 

シヴァ神ファミリー(①②③)

ヴィシュヌ神カップル(④⑤+1

四天王(⑥)

インドラ神(⑦)

ブラフマー神(⑧)

 

メインブログでも書いていますが、

タイで縁起の良い数字は “9”です。

そこで、今回、駅の地図には8神ですが

私が一つ付け加えて9神にしました。

 

 

  

 

シヴァ神ファミリー

 

 

①トリムルティ(シヴァ神) 

ガネーシャシヴァ神の息子)

③ウマテウィー(シヴァ神の妃)

 数字は地図上の神社の番号です。

 

 トリムルティ

  「愛やリレーションシップをお祈りする」

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実はこの交差点にシヴァ神

単独ではいらっしゃいません。

トリムルティという三神一体の形で

いらっしゃいます。

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三神一体とはヒンドゥー教の三大神が

一つになったもの。

三大神とは、ブラフマー、ヴィシュヌ、

シヴァのことで、3つが一緒なので

最も偉大な神様です。

  

ヒンドゥー教では、ブラフマーが世界を創造し、

ヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊するという

この世は創造と破壊のサイクルをとるという

世界観があるそうです。

 

左から、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ

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三神一体トリムルティの像が祀られているのは

意外になく、この近辺だとあとは

エカマイゲートウェイの横に

祀られているくらいです。

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エカマイゲートウェイの三神一体像は

上の写真のように、3つの神が

手に各々の武器を持っています。

どんな武器を持っているかはこちらの

記事の中で書いたことがあります。

www.yayoi-thainootera.net

 

伊勢丹前のトリムルティは武器がありません。

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見た目にも優雅で豊かさの象徴です。

人生における満たされている愛と仕事の、

特に愛を叶えてくれる神様。

木曜日の朝9時半と夜の21時半に

トリムルティがこの場に降りてきて

祈願の言葉を受け入れてくれるとされ、

たくさんの人がその時間めがけて

祈願に集まってきます。

 

☞ 大乗仏教では、シヴァ神

  “ 自在天 ”として取り入れられています。

 

ガネーシャ

 「ビジネスの成功、

 芸術や学問の成功をお祈りする」

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ガネーシャはその外見に特徴があります。

まず、身体は人の様ですが、頭は象。

シヴァ神の留守中に生まれたので、

留守から帰って驚いたシヴァ神

頭を切り、その後、息子だとわかったので

あわてて、通りかかった象の頭を息子の頭に

つけたという説があります。

そしてお腹。ふくよかな太鼓腹は豊かさの象徴。

富の神様です。

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小さな目は悪いものを見抜き、

大きな耳は慕ってくるものの声を聞き、

大きな鼻は最高のものをかぎ分け、

ガネーシャを尊敬するものの災いを追い払い、

危険から守り、成功をもたらせてくれるそうです。

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ガネーシャの左の足元に

乗り物であるネズミがみえます。

また向かって左側の上の手には三又のほこ、

下の手には折れた片方の牙を。

向かって右側の上の手には縄、

下の手にはモーダカという

甘いお菓子をそれぞれ持っています。

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私は、ガネーシャが大好きで、

バナナとサトウキビをもって

週に1度は家の近くのガネーシャ

会いに行っています。

 

☞ 大乗仏教では、ガネーシャ

  “ 歓喜天 (または聖天) ” として

  取り入れられています。

 

ウマテウィー

 「家族の恵みと安定をお祈りする」

 

このウマテウィーは、パールヴァティーという

名でしられるシヴァ神の妃で、

ガネーシャの母親でもあります。

ガネーシャシヴァ神の留守中に

ウマテウィーが自分の

垢で作ったといわれます。

ウマとは“ 雪山の娘 ”という意味だそうです。

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子を持つ母親や妊婦さんに人気で、

子供を守り安産を祝福してくれる

家族の平穏無事と安定を守ってくれる女神です。

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手に持つ持ち物はハスの花。

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力強い仁徳の女神ということで

2011年にここに祀られました。

 

私が数年前にシーロム

ワット・プラシーマハーウマテウィー

(通称ワット・ケーク)からお借りしてきた

シヴァ神のファミリーフォト。

 

余談ですが、私の実家の家族名はSHIBAで、

このお寺でお布施をしたときにその話をしたら、

バナナをいただいたことがあります。

名前って面白いもので同じだったり、

似ていると親近感が増しますね。

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ヴィシュヌ神カップ

  

ヴィシュヌ神

+1 ガルーダ(ヴィシュヌ神の乗り物)

ラクシュミーヴィシュヌ神の妃)

 数字は地図上の神社の番号です。

 

ヴィシュヌ神

 「敵と悪から守ってくれるように

 お祈りする」

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こちらにいらっしゃるクメール様式の

ヴィシュヌ神は、頭に王冠の様なものを

かぶってガルーダに乗っています。

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悪を追い払い、パワーを生じさせ、

人に幸せをもたらすヴィシュヌ神

ビジネスを進歩させてくれる神様。

ブッダや「ラーマーヤナ

(タイでは「ラーマキエン」)の

主人公のラーマ王子はこのヴィシュヌ神

生まれ変わりであり、ヴィシュヌ神

人々を救うために化身となって地上に

生まれ変わるのだそうです。

 

タイにおいてはスコータイ時代から

現在まで何世紀もの間、タイを守って来た

最も重要な神で、現在の王朝である

ラッタナコーシン朝の国王は、ラーマを

名乗っており、国王もヴィシュヌ神

化身であるとされています。

 

手には、円盤、ほら貝、棍棒と、

ここではハスの花の代わりに

球形のものを持っています。

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☞ 案内板の表示のNARAYANAをネット

    検索してみたらネット上の情報ですが、

       ヴィシュヌ神は仏教上では

  那羅延天(または毘紐天)として

       取り入れられているようです。

  岩波仏教辞典には那羅延天でも毘紐天でも

        のっていないので、詳細はわかりませんが...

  参考にしたサイトはこちらです。

 https://myth.maji.asia/amp/item_naraenten.html

  

ガルーダ

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ガルーダはヴィシュヌ神の乗り物であると

同時にヴィシュヌ神の化身でもあり、

翼、鳥の顔とくちばしをもった半神です。

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タイの街中では、お寺以外にも銀行や病院の

ビルにはシンボルとしてよく見かけるのですが、

このガルーダはタイ王室の紋章として、

政府公認の公文書には、王の威厳を示す

シンボルとして刻印されるものです。

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そしてタイ人のパスポートの表紙にも

ガルーダ。

友人のパスポートの表紙の写真です。

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王宮のガルーダの様に

ほとんどのナーガは

蛇神ナーガをつかんでいます。

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こんなに足長で開放的な手をもつ

ガルーダは珍しい気がします。

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☞ 大乗仏教では、ガルーダは“ 八部衆 ” 

    として取り入れられています。

       八部衆とは、天、竜、夜叉、ケンダツバ、

       アシュラ、カルラ(ガルーダのこと)、

       キンナラ、マゴラガです。

 

ラクシュミー

 「お金と成功をお祈りする」

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この美しい女神は、ゲーソンプラザ4階の

屋外庭園のような所に1996年から

祀られています。

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BTSスカイトレインの中からも

遠目に見ることができます。

ちょうど曲がり角で速度が落ちる

BTSの中からやっとのことで撮りました。

上の方の真ん中gマーク上あたりに見える

小さな銀の三角の部分がラクシュミー

祀られているところです。

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ヴィシュヌ神の妃であるラクシュミー

ヴィシュヌ神が世界を救う時に力を強める時の

かくれた力になります。

美と富、豊かさの象徴です。

有名なビジネスマンや芸能人からも崇拝され、

外見、心の両方が美しくあるように

助けてくれるそうです。

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☞ 大乗仏教では、ラクシュミー

  “ 吉祥天 ” として取り入れられています。

  ただ仏教では、吉祥天は毘沙門天

  (別名、多聞天)の妃となります。

 

  

< ラーチャプラソン交差点 >

  

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タイ語 สี่แยกราชประสงค์

    (シーイェークラーチャプラソン

    ย่านราชประสงค์

             (ヤーンラーチャプラソン

    シーイェークとは四つ角、交差点。

     ヤーンは地区を表すタイ語です。

   

 

 (2)に続きます。

 

お読みいただきありがとうございました。

@yayoi