スワンナプーム空港 サムットプラカーン県
サワディーカー。
@yayoiです。
2020年になって、広がったCovid-19の
パンデミックの影響で、この記事を
書いている現在、どこの国々も飛行機の発着が
減少・キャンセルになっています。
それで、乗客がいない空港ってどんなだろう...と
考えていたら、スワンナプーム空港にある
有名なオブジェが頭に浮かんできました。
それがこの乳海撹拌の場面です。
出ると、人々の目にまず入るこの光景です。
スワンナプームとは...?
スワンナプーム空港は、
私が2005年から2009年までタイに住んでいる間の
2006年にオープンした空港です。
2005年、日本から引越してきた私が、初めてタイに
降りたった空港はドンムアン空港でした。
その翌年からは、タイを出国するたびにみかける
このオブジェですが、オープン当時は
タイ語と英語の説明書きくらいしかないうえに
ヒンドゥー教の神々にも興味がない私には
“ 空港にある巨大な像 ”くらいにしか
思わなかったのです。
2009年5月 朝の7時に撮った写真です。
2019年8月 朝7時半くらいに撮った写真です。
約10年の間、ほぼ変化なく保たれています。
スワンナプーム(สวรรณภูมิ)とは、
サンスクリット語のスヴァルナ・プーミが
語源で、“ 黄金の地 ” “ 黄金国 ”の
意味です。
この黄金国は、かつてインドのアショーカ王が仏教を
広めるために諸国に伝道師を派遣した国のうちの
一つの地名で、ソーナとウッタラという
二人の長老が派遣された場所だといわれています。
それが位置する場所は、
ミャンマーのタトンあたり(オレンジの〇)である
という説やタイのナコンパトムあたり(黄色の〇)
であるという説などがあります。
『ラーマキエン』と乳海撹拌事件とは…?
このオブジェになっているのは、
「乳海撹拌」というヒンドゥー教の神々が
引き起こした大事件です。
インドでは古代インドの叙事詩
両方に収録されているようです。
タイでは『ラーマーヤナ』のタイ版とも
言われる『ラーマキエン』に収録されています。
タイでは小学生でこの物語について習う様ですが、
この中にでてくる登場人物は
ヒンドゥー教の神々や動物の神々、鬼神など
いろいろいて、それらの像はタイの仏教寺院でも
よく見かけるのです。
そのような訳で、今回はこの「乳海撹拌」について
記事にしてみようと思います。
なぜ乳海をかきまわしたか...?
私は、現在アニメーションを見ながら
『ラーマキエン』を勉強中です。
そこで、そのアニメーションの
一場面を取り上げて、事の顛末を
説明してみようと思います。
トゥラワート仙人が呪いをかける
シヴァ神の化身の一人、トゥラワート仙人が修行中に
エラワンに乗ったインドラ神が通りかかりました。
トゥラワート仙人が花環を差し出しました。
しかし、その香りでエラワンは酔ってしまい、
花環をバラバラにして立ちさりました。
怒った仙人はインドラ神をはじめとする
神々がアシュラ(鬼神)と戦い、何度も負けるようにと
呪いをかけてしまいます。
アシュラたちに負けてばかりの神々
それからというもの神々は、何度アシュラと
戦っても負けてばかりいました。
そこで神々はシヴァ神に相談したところ、
助けてもらうように助言しました。
ヴィシュヌ神は “ 解決策は一つ。不老不死の霊薬アムリタが
できるまで、海をかきまわし、できた霊薬を飲むしかない “
と言いました。
しかし、海をかきまわすには神々の力だけでは
足りないので、インドラ神がアシュラたちに
霊薬を分けるといって手伝うようにもちかけます。
いよいよ乳海撹拌が始まる!
海をかきまわすのには、マンタラ山を撹拌棒とし、
ナーガ(ヘビの神)を巻き付け、
ヴィシュヌ神は山を支えるためにカメに姿を変え、
海の底に沈みました。
スワンナプーム空港のオブジェのカメです。
そして撹拌が始まりました。
スワンナプーム空港のオブジェは
まさにこのシーンを表しています。
ナーガの頭の方には鬼神たち。
ナーガの尾の方には神々たち。
2009年に撮影したものです。
2019年に撮影したものです。
毒をのむシヴァ神
ところが、かきまわすこと数100年に及び、
巻き付いているナーガが弱って、
吐き出したものが黒い毒となって空へ広がって行きました。
このままだと毒が世界を破壊すると考えた
シヴァ神は毒をすべて飲み込みました。
それでシヴァ神ののどは黒くなりました。
☞ シヴァ神は青い肌の色で表現されていますが、
それはこの毒を飲んだ黒から来るのではなく、
ヒンドゥー教では黒は不浄な色とされるので、
インドでは浅黒い肌を表現するのに、
青を使ったそうです。
(『いちばんわかりやすいインド神話』より)
乳海からでてきたもの
その後、1000年が経つまでずっと乳海は
濃くなるまでかきまわされました。
そして、たくさんのものが生み出されました。
例えば、月や牛。
白馬ウッチャイシラパやラクシュミー。
白象のエラワンや酒、聖樹パリチャー。
そして最後に出てきたのが
霊薬アムリタです。
神々がアシュラをだます
霊薬アムリタができると、
神々とアシュラは霊薬アムリタをめぐって
12日間も争いました。
そこで、ヴィシュヌ神は美しい天女に変身し
アシュラの気をひき、その間に神々は
アムリタを口にしました。
スワンナプーム空港のオブジェの前にある
霊薬アムリタです。
この先は、物語に続きがありますが、いつか
お寺歩きにあわせて記事にしたいと思います。
さて、24時間絶え間なく、人がいる空港。
人がほとんどいないと思われる今、
空港はどうなっているのでしょう…
だれもいなくても
神々とアシュラが乳海をかきまわす
音だけが聞こえていたりして...?!
きっとヴィシュヌ神が見張っていますね。
さて、アシュラたちは仏教に帰依してからは
お寺の守護神となりました。
もちろん、スワンナプーム空港でも
12体の鬼がタイという国を護っています。
鬼が整列した看板がありました。
最後にヴィシュヌ神の後ろ姿です。
< スワンナプーム国際空港 >
タイ語名称 ท่าอากาศยานสุวรรณภูมิ
ターアーカーサヤーンスワンナプーム
英語名称 Suvarnabhumi Airport
お読みいただきありがとうございました。
@yayoi