タイと私と仏教と ~タイのお寺・神社・博物館から~

タイのお寺を通して広くタイ人の信仰を研究中

〖タイの「市の柱」〗柱で象徴された国の守護神を祀った神社

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サーン・ラックムアン バンコク

 

サワディーカー。

@yayoiです。

 

以前、ミャンマーのお寺の記事をメインブログで

書いたときに、ミャンマーではお寺を建てる時に

まず柱を建ててから、お寺の建築を始めると

ガイドさんから聞いたことがありました。

 

タイのお寺に関して、こういう話は

あまり聞いたことがありませんでしたが、

タイには“ 市の柱 ”があったことを

思い出しました。

サーン・ラックムアン ( ศาลหลักเมือง )

と呼ばれるところです。

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市の柱、国の柱とは...?

  

サーンは神社、ラックは柱、基礎、礎、

ムアンは町、市、国家などを表すタイ語です。

タイ人は今でもタイの国を

ムアンタイ(เมืองไทย)またはプラテートタイ

(ประเทศไทย 泰国 プラテートは国の意味)と

呼ぶので、このサーン・ラックムアンは

市の柱の神社、

または国の柱の神社となります。

(日本語表記では、ムアン、ムワンなど

 どちらもあるかと思いますが、この

 ブログではムアンで統一しようと

 思います。)

 

昔は、国の守護神は、1本の木柱をもって

象徴されたようです。

木柱は国の転覆、崩壊を防ぐ 国の礎 。

“ 国礎神 ”であったわけです。

 

このサーン・ラックムアンには

独自のウェブサイトがあり、そのサイトによれば、

この神社は1782年、KingRamaⅠの治世下に

建てられ、町(都)も

クルンテープマハーナコン

(กรุงเทพมหานคร)と名付けられたとあります。

 

その歴史と

英語の名称がCity Pillarということからすれば

サーン・ラックムアンは市の柱の神社という

ことになるでしょうか。

 

この時、名付けられた

クルンテープマハーナコンという名称は

正式にはもっと長く、世界でも最も長い

都市名として有名なタイの首都名。

 

英語や日本語ではバンコクと呼びますが、

タイではクルンテープと呼ぶのが一般的です。

 

バンコクのサーン・ラックムアンは

入口は別ですが、国防省の敷地内にあり、

王宮の目の前にあります。

 

写真の、向かって右側が国防省の入り口。

その左側の奥に見える白い塔のような

建物のあるところがサーン・ラックムアンです。

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王宮を右手側、王宮前広場を左手側に

見た位置だと正面に

サーン・ラックムアンが見えます。

道路の反対側から撮りました。f:id:at_yayoi:20200811100537j:plain

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小さい敷地ながらも、柱を祀った社の

他に、ブッダ仏舎利、守護神など

いろいろ祀られています。

 

1982年に行われた

現王朝、ラッタナコーシン朝200年の儀式には

当時の国王KingRamaⅨもここを訪れ、

その後の修復が終わった1986年7月24日の

儀式の際にもここを訪れたそうです。

 

 

柱に参拝するには...?

  

敷地内には案内マップがありました。

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アクリル板に反射して見にくいので

サーン・ラックムアンのウェブサイトから

お借りしました。

参拝するところは🔶1から🔶5までで

A、Bはお供え物が置いてあります。

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ここでの参拝のしかたを示した

ガイドもありました。

そこで、それに伴い

順番に各建物をみていきたいと思います。

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🔶1🔶 ブッダ仏舎利に参拝

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このお堂の全景です。

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階段を数段上がると入り口があります。

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お堂の後方から撮りました。

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入口を入ると右手側には

“成功の吉凶を占う仏像”があります。

小さな仏像です。

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左手側には曜日の仏像があります。

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前方にブッダ仏舎利が祀られています。

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中央のブッダです。

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向かって右側には仏舎利

祀られています。

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向かって左側にはナーガに

護られて瞑想するブッダ

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☞ ガイドによれば、仏像の前で

 ひざまづき、ハスの花1輪をお供えしたり、

 曜日の仏像の鉢にコインをいれます。

  

 

🔶2🔶 市の柱のレプリカに参拝

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市の柱のレプリカは手前の屋根の下にあり、

後方のサーラ―(壁のないお堂)の中に

ブッダガネーシャが祀られています。

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別の角度から撮りました。

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市の柱のレプリカです。

後ろの方に王宮も見えます。

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人が三色の布を巻いていきます。f:id:at_yayoi:20200811100816j:plain

 

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後方のサーラ―です。

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風がぬける広い空間です。

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別の角度から中の様子を撮りました。

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ガネーシャが2躰。

手前のガネーシャに金を貼ります。

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金がぴっちりと貼られたブッダ

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お線香、ろうそくをお供えする場所。

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☞ ガイドによれば、

 ひざまづき、お線香、ろうそくをお供えし、

 金を貼ったり、市の柱のレプリカには

 三色の布を巻きます。

  

 

🔶3🔶 市の柱に参拝

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いよいよ市の柱を祀ってある社に

入ります。立派な建物です。

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別の角度から撮りました。

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屋根飾りが素晴らしいです。

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中には柱が2つ。 

KingRamaⅠは

タイの民族の吉祥を願い、

チャイヤプルックという木で作り

外側にビャクダンをはり、上の方にハスの

つぼみがある柱を建てたそうです。

 

しかし、時とともに破損してきたので、

KingRamaⅣは軸にチーク材をいれて

チャイヤプルックという木で作りました。

上の方は飾りがある市の柱を

国とタイ国民が、王家のもと発展するようにと

願いをこめて建てたそうです。

 

入口です。

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入口をはいると、階段を数段

降りたところに柱が祀られています。

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入口は四方にあり、

扉の上には描かれているのは四天王です。

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四天王については、こちらの記事に

書いたことがあります。

thai-yayoi-buddhism.hateblo.jp

 

左の柱の上の方にハスの花があるのが

KingRamaⅠの柱。

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右の柱の上の方に冠のような飾りがあるのが

KingRamaⅣの柱。

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ここで唱える言葉が書いてあります。

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天井部分です。

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☞ ガイドによれば、

 ひざまづき、花輪をお供えします。

  

 

🔶4🔶 守護神に参拝 

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市の柱を祀ってある社の横にあるのは

守護神が祀られているお堂。

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写真を撮る前に、遠目にこの角度から

お堂を見たら、私には

二つずつある屋根飾りが角のように

見えました。

このお堂の中には、個性的な神様が

5人いらっしゃいます。

 

お堂の入り口です。

このお堂の入り口は一つ。

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中に入って全体を撮りました。

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神様にはそれぞれ役割があるようです。

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プラ・スワムアン(พระเสื้อเมือง ①)

陸、水を守り、兵士、軍隊を

管理し、国を安楽に幸せに導く神様。

左手に棍棒、右手に円盤を持っています。

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プラ・ソンムアン(พระทรงเมือง ②)

国を安全に保護するために

視察し、国を恵みで満たす神様。

左手に剣、右手にほら貝を持っています。

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プラ・カーンチャイシー(พระกาฬไชยศรี ③)

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4つの腕を持ち、ふくろうの背に乗っている

この神様は、上方の右手には魂の炎を

持っています。

 

この魂の炎とは、人間の身体の中にあり、

その火が消えるということは、

生涯を終えるということ。

3つに分かれているようにみえるものが

表しているのは、青年期(または幼少期)、

中年期、老年期で、死というものは、

時期に関係なく、訪れる時には訪れる

ということだそうです。

 

下方の右手には、剣を持っていますが、

剣とは神々や知恵者の武器。

上方の左手には死に至ったものの生命をまとめる

ための先が輪になった縄を持っています。

下方の左手は、悪いことはしないようにという

警告の印相をしています。

 

ジャウ・ジェッタクップ(เจ้าเจตคุปต์ ④)

この神様は、閻魔様の従者。

右手には鉄筆、左手には貝葉を

持っていて、言い伝えでは亡くなった人の悪を

書き留め、閻魔様に伝えるそうです。

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ジャウ・ホークロン(เจ้าหอกลอง ⑤)

右手には大地の神トラニーの代わりとなる

ハスの花をもち、左手には動物の角を

持っている神様。

動物の角は兵士を呼ぶためで、

それは災害が起きた時や敵が攻めて来た時。

または、暁の鐘、昼、晩の鐘と

時間を知らせ、時間を守るためのものでも

あるそうです。

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☞ ガイドによれば、

 それぞれの神様に花輪をお供えし、

 手を合わせます。

 

 

 🔶5🔶 誕生日の仏像に参拝 

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守護神を祀ってあるお堂の横にあるのは

自分の誕生日の曜日の仏像に油を注ぐための

サーラーです。

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手前の小さな屋根の下が、誕生日の仏像に

油を注ぐ場所。

そのほかは、お線香、花、ろうそく、

三色の布、花輪などが置いてあったり、

事務所になっているようです。

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曜日の仏像があります。

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自分の誕生日の仏像に油を注ぎます。

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注いだ後の空のボトルがたくさん

ありました。

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☞ ガイドによれば、

 瓶の半分は自分の誕生日の仏像の下の皿に注ぎ、

 残りの半分はさらにその下の油が入っている

 ところに注ぐことで悪運が良い運になる

 そうです。

   

 

朝の光を浴びたサーン・ラックムアンを

ふり返りながら、今回の参拝は終わりです。

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駅構内で見つけた、市の柱...?

 

2019年にMRTが延長、開通したことで

公共の乗り物でも行きやすくなった

王宮周辺ですが、サーン・ラックムアンの

最寄り駅はサナームチャイという駅。

 

周辺にある王宮やワット・ポーなど

歴史や文化遺産を感じる場所に

ふさわしい駅にと、デザインされているそうです。

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階段まわりや壁も駅とは思えない

美しいデザインですね。

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エスカレーターの脇には...

市の柱のようなデザインの

柱がありました。

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<サーン・ラックムアン>

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正式名称 ศาลหลักเมือง

     The City Pillar Shrine

 

所在地    ถนน หลักเมือง แขวง พระบรมมหาราชวัง

                 เขตพระนคร กรุงเทพมหานคร 10200

                 Lak Muang Rd
       Phra Borom Maha Ratchawang
       Phra Nakhon, Bangkok 10200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

今回の記事は

Bangkokcitypillarshrine.comの

サイトを参考にして書きました。

お読みいただきありがとうございました。

@yayoi