タイと私と仏教と ~タイのお寺・神社・博物館から~

タイのお寺を通して広くタイ人の信仰を研究中

〖タイの国立博物館〗都市の発達で手狭になった県庁が国立博物館に!

f:id:at_yayoi:20210401215208j:plain

ウボンラーチャタニ―国立博物館 ウボンラーチャタニ―県

 

サワディーカー。

@yayoiです。

 

タイの東北、ウボンラーチャタニ―と

その周辺の県を旅行しました。

旅行といってもほとんどがお寺巡りの旅に

なりましたが、ウボンラーチャタニ―国立博物館

最終日に訪れました。

 

初日にこの隣にあるサーン・ラックムアン

(市の柱)周辺を訪れることからスタートした

ウボンラーチャタニ―旅行。

数日間があっという間に過ぎ、最終日にまた、

市の柱周辺に戻ってきたという感じです。

 

博物館の方からみるサーン・ラックムアンの

裏側です。

f:id:at_yayoi:20210401221617j:plain

 

サーン・ラックムアンの敷地から見える博物館です。

f:id:at_yayoi:20210401221853j:plain

 

サーン・ラックムアン側から入る

博物館の入り口です。

f:id:at_yayoi:20210401215159j:plain

 

この緑の門は、ウボンラーチャタニ―県の

シンボルのハスの模様がきれいです。

f:id:at_yayoi:20210401215214j:plain

 

道路側には別の入り口があります。

車の中から撮りました。

f:id:at_yayoi:20210401215305j:plain

 

 

 

 

博物館の歴史と外観

 

この建物は、もとは県庁として、KingRamaⅥの時代の

1918年に建てられたものです。

この土地はKingRamaⅣの王子の1人である

サンパシティプラソン王子の土地で、

公務のためにとその土地に王族が建てた

建物だそうです。

この写真の方がサンパシティプラソン王子です。

f:id:at_yayoi:20210401215248j:plain

 

上の写真はサーン・ラックムアンの中にあったものを

撮ったのですが、この王子の記念の像が建てられる

ようで、まだ工事中でした。

f:id:at_yayoi:20210401215238j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215257j:plain

 

都市の発展とともに手狭になった県庁は

1968年に西側の方に移動し、この建物は

様々な公務の場として使用されるようになり、

1983年、ウボンラーチャタニ―の当時の県知事に

よって、修復され博物館になりました。

1989年のオープニングには、シリキット王太后

お出ましになられたそうです。

 

サーン・ラックムアン方から見た博物館の

外観です。

平屋造りの北向きの建物です。

f:id:at_yayoi:20210401215221j:plain

 

入口は、ポーチのような部分がついていて、

そこには博物館ではなく、県庁と記されていて、

上にはガルーダがいます。

f:id:at_yayoi:20210401220619j:plain

 

出入口部分を横から撮りました。

f:id:at_yayoi:20210401220605j:plain

 

斜め前から撮りました。

f:id:at_yayoi:20210401220419j:plain

 

薄いクリーム色の外観です。

f:id:at_yayoi:20210401220552j:plain

 

 

博物館内部の造りは...?

 

博物館の中に入ります。

f:id:at_yayoi:20210401220631j:plain

f:id:at_yayoi:20210401220644j:plain

 

博物館の中にあった全体の模型です。

f:id:at_yayoi:20210401215328j:plain

 

中央にホールがあり、その両脇に中庭があり、

それらを囲むような回廊状の建物が

高床式で建っています。

f:id:at_yayoi:20210401220209j:plain

 

回廊状の部分には

小さな部屋がたくさんあります。

f:id:at_yayoi:20210401215747j:plain

 

これは県庁舎や州省庁の造りの特徴でしょうか…

以前書いた記事のアユタヤのチャンタラカセーム

国立博物館も似たような造りでした。

thai-yayoi-buddhism.hateblo.jp

 

入って左手側の中庭を撮りました。

f:id:at_yayoi:20210401215839j:plain

 

向かって右側の部分は修復中です。

f:id:at_yayoi:20210401220340j:plain

 

小部屋1に展示されていた

博物館の展示見取り図です。

小部屋10,11が修復中の部分です。

f:id:at_yayoi:20210401215405j:plain

 

 

▶小部屋1 ~Introduction

 

この部屋は、上記の博物館の見取り図と、

ラッタナコーシン朝の歴史を示すパネル、

この博物館の見どころをのせたパネルが

展示されています。

f:id:at_yayoi:20210401215340j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215352j:plain

 

 

▶小部屋2 ~Prehistoric period

 

次の部屋は、タイの東北部のプレヒストリーの

概要が示されている部屋です。

f:id:at_yayoi:20210401215418j:plain

 

ウボンラーチャタニ―県の、考古学的に

関連のある場所を表した地図がありました。

f:id:at_yayoi:20210401215441j:plain

 

この1番(地図上で1番上の部分)のTa Lao Caveは

博物館でいただいたパンフレットによると、

およそ1万年前にこのウボンラーチャタニーの

地に、人が存在していた証拠として、石器などが

見つかった場所だそうです。

 

ウボンラーチャタニー県の東、ラオスとの国境が

見えるパーテム国立公園に関するパネルもありました。

f:id:at_yayoi:20210401215429j:plain

 

 

▶小部屋3 ~Stone Age

 

先史の時代の石器時代の部屋に入ります。

f:id:at_yayoi:20210401215453j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215507j:plain

 

 

▶小部屋4 ~Metal Age

 

先史の時代の金属器時代の部屋に入ります。

f:id:at_yayoi:20210401215531j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215542j:plain

 

斧や槍などが展示されています。

f:id:at_yayoi:20210401215520j:plain

 

古い太鼓です。

f:id:at_yayoi:20210401215553j:plain

 

 

▶小部屋5 ~Pottery

 

先史の時代の陶磁器が展示されている

部屋です。

f:id:at_yayoi:20210401215603j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215615j:plain

 

さて、次の部屋から有史の時代に入ります。

f:id:at_yayoi:20210401215626j:plain

 

 

▶小部屋6 ~Dvaravati Culture

 

部屋全体の様子です。

f:id:at_yayoi:20210401215638j:plain

 

ドヴァラヴァティー文化とは、

現在のタイの領域で最初に現れた大国は

モン族のドヴァラヴァティーであると

いわれており、その時代の文化です。

 

タイの歴史は、最初のタイ人による王国を

スコータイ王国としているため、

有史の時代と書きましたが

タイのナショナルヒストリー以前にあたります。

 

そのモン族のドヴァラヴァティーの中心は

バンコクの西のナコンパトムであったという

説が一般的だということは、アユタヤのお寺に

安置されていたドヴァラヴァティー様式の

仏像について書いた、私のタイのお寺のブログでも

ふれたことがありますが…

www.yayoi-thainootera.net

 

このドヴァラヴァティーはナコンパトムは

もちろんのこと、次の5つの地域に

分かれていたようです。

 

タイ湾西岸、タイ湾東岸、

チャオプラヤー川流域、北タイ、

そしてこの東北タイです。

f:id:at_yayoi:20210401215731j:plain

 

この東北タイにおけるドヴァラヴァティー文化の

象徴的なものが、

バイセーマー(ใบเสมา結界石)です。

 

アムナートジャルーン県で発見された

8~9世紀くらいの結界石です。

大きさは、身長150㎝の私が横に立って

図ってみたところ、この石の高さの半分くらいの

ところが私の頭の上。つまり床から150㎝位でした。

f:id:at_yayoi:20210401215652j:plain

 

法輪が描かれているのが見えますが、

これは、東北タイの中でも、

このウボンラーチャタニ―、近隣のヤソートンや

アムナートジャルーンなどの県で出土したものの

特徴だそうです。

 

法輪の部分を黒い〇で囲んでみました。

f:id:at_yayoi:20210401215154j:plain

 

他には、7~8世紀ウボンラーチャタニー県出土の、

ドヴァラヴァティー様式の瞑想する形態の仏像や立像が

展示されています。

f:id:at_yayoi:20210401215707j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215719j:plain

 

 

▶小部屋7 ~Chenla時代のロッブリー文化

 

次の部屋はChenla(真臘)時代の

タイ東北地方におけるロッブリー文化の部屋です。

 

Chenla(真臘)とは、7世紀にメコン川流域に

成立した国で、現在のカンボジアからタイ東北部に

かけての地域を支配していましたが、やがて

南北に分裂しました。

 

ロッブリー文化とは一言でいえば

タイにおけるクメール美術のことです。

f:id:at_yayoi:20210401215759j:plain

f:id:at_yayoi:20210401221044j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215928j:plain

 

部屋の入り口の扉の横に、大きな破風が

展示されていますが、これはラッタナコーシン朝の

時代に入ってからのものの様です。

f:id:at_yayoi:20210401215811j:plain

f:id:at_yayoi:20210401215826j:plain

 

2番のお部屋の前からズームして撮りました。

f:id:at_yayoi:20210401215851j:plain

 

初期のクメール人の王国であるChenla(真臘)時代に

ついて書かれています。

f:id:at_yayoi:20210401215916j:plain

 

ウボンラーチャタニ―県発掘のガネーシャ

f:id:at_yayoi:20210401215904j:plain

 

ウボンラーチャタニ―県発掘の円柱の柱。

f:id:at_yayoi:20210401215939j:plain

 

リンテルと呼ばれるもので、古代建築に見られる

二つの支柱の上に渡したもの。

f:id:at_yayoi:20210401215950j:plain

 

 

▶小部屋8 ~Ardhanarishvara

f:id:at_yayoi:20210401220003j:plain

 

この部屋は、アルダナリスヴァラという神像のための

部屋で、この像は、ヒンドゥー教シヴァ神とその

配偶者であるウマテウィー(パールヴァラティーともいう)

とを一体化させたもので、非常に珍しいものです。

 

ウボンラーチャタニー県で発見されたものですが、

バンコク国立博物館にて

所有していたものをここに移したそうです。

f:id:at_yayoi:20210401220016j:plain

 

 

▶小部屋9 ~ アンコール時代のロッブリー文化

 

小部屋7に展示されていたChenlaという国は

南北に分裂した後、9世紀に入って統一されました。

 

統一したのはアンコール朝といわれる王朝です。

このアンコール朝は、タイ東北部や

ラオス南部だけでなく、一時はチャオプラヤー

流域にまで支配域を拡大していきました。

 

そのアンコールに支配された時代のタイ東北地方における

ロッブリー文化の部屋です。

f:id:at_yayoi:20210401220106j:plain

f:id:at_yayoi:20210401220147j:plain

 

ここには、ヒンドゥー教ガネーシャシヴァ神

リンガなどが展示されています。

 

ガネーシャ。10世紀くらいのもの。

f:id:at_yayoi:20210401220029j:plain

 

こちらは頭部が破損しているガネーシャ

f:id:at_yayoi:20210401220040j:plain

 

Navagraha(九曜)です。

f:id:at_yayoi:20210401220052j:plain

 

聖水を流すためのもの。

f:id:at_yayoi:20210401220135j:plain

 

シヴァ神のリンガ。

f:id:at_yayoi:20210401220122j:plain

 

ライオンなど。

f:id:at_yayoi:20210401220158j:plain

 

ここで展示物は終わりです。 

このほかにも部屋があるのですが、

工事中で、回廊を一周することもできません。

 

もと来た道をもどって、再び初めの小部屋1

Introductionのお部屋の前まで戻ると、

その前に、建物の中央にあたる部屋、

ホールがあります。

 

ホールの中の様子です。

f:id:at_yayoi:20210401220222j:plain

 

この中は展示室というよりは収納されている

ような感じがあります。

f:id:at_yayoi:20210401215131j:plain

 

 

外の第2展示室へ!

 

この博物館の敷地の中には他にも小さな建物が

二つあります。

 

1つはこの木の陰に見える建物ですが、ここは

オフィスの様です。

f:id:at_yayoi:20210401220353j:plain

 

そしてもう1つはメインの建屋から出て、右手側に

あるこの建物が第2展示室です。

f:id:at_yayoi:20210401220406j:plain

 

リンテルや結界石などが展示されています。

f:id:at_yayoi:20210401220431j:plain

f:id:at_yayoi:20210401220443j:plain

f:id:at_yayoi:20210401220501j:plain

 

また、外にはトラクターもありました。

f:id:at_yayoi:20210401220514j:plain

f:id:at_yayoi:20210401220527j:plain

 

ここからメインの建物が見えます。

これで今回の見学は終わりです。

f:id:at_yayoi:20210401220539j:plain

 

  

<ウボンラーチャタニー国立博物館

f:id:at_yayoi:20210401215316j:plain

 

正式名称 พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติ

     อุบลราชธานี

            Ubon Ratchathani National Museum 

 

所在地  318 ถนน เขื่อนธานี ตำบล ในเมือง อำเภอเมือง 

     อุบลราชธานี อุบลราชธานี 34000

     318 Khuanthani Rd, Tambon Nai Mueang,

     Mueang Ubon Ratchathani District,

     Ubon Ratchathani 34000

 

 

 

今回の記事は、博物館でいただいたパンフレット、

展示物のパネル、書籍『タイの歴史』などを

参考にして書きました。

 

お読みいただきありがとうございました。

@yayoi